登録支援機関の費用相場は月いくら?委託費の内訳と自社支援との比較

登録支援機関に支払う支援委託費は、特定技能外国人1人あたりの月額で決まることが多く、出入国在留管理庁の集計では平均28,386円、全体の約9割が月3万円以下でした(令和4年9月末時点の暫定値)。

ただし、委託費とは別に、送迎の交通費などの実費や、在留資格の申請書類の作成費用がかかる場合があります。一方、自社支援にすれば委託費はかかりませんが、支援を担当する社員の人件費や通訳の費用などが代わりにかかります。

この記事では、入管庁のデータで委託費の相場を確認したうえで、見積もりの内訳の見方と、自社支援にした場合の費用との比べ方を説明します。

登録支援機関の費用相場は月いくら?

入管庁の集計:平均28,386円、約9割が月3万円以下

出入国在留管理庁の資料によると、特定技能外国人1人あたりの支援委託料(月額)の平均は28,386円です。金額帯で最も多いのは「20,000円超〜25,000円以下」(26.2%)、次いで「15,000円超〜20,000円以下」(25.3%)でした。

特定技能外国人1人あたりの月額支援委託料の分布。平均28,386円、約9割が月3万円以下。最多は2万円超〜2.5万円以下の26.2%

1人あたりの月額支援委託料外国人数構成比
5,000円以下600人0.9%
5,000円超〜10,000円以下4,515人6.4%
10,000円超〜15,000円以下6,665人9.5%
15,000円超〜20,000円以下17,781人25.3%
20,000円超〜25,000円以下18,434人26.2%
25,000円超〜30,000円以下14,322人20.3%
30,000円超8,087人11.5%
合計70,404人100.0%

出典:出入国在留管理庁「特定技能制度の現状について」(技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議 第8回 参考資料4)

数字を見るときの注意

この数字は、令和4年9月末に日本にいた特定技能外国人について、在留資格の申請で「登録支援機関に有償で委託する」とされた金額を集計した暫定値です。現在の見積もりそのものではありません。

また、ここでいう月額には、初期費用や実費が含まれているとは限りません。見積もりを比べるときは、月額だけでなく、次の章で説明する「委託費とは別にかかるもの」もあわせて確認してください。

委託費の決まり方と内訳

月額型と項目別型

登録支援機関の料金の決め方は、主に2つです。

  • 月額型:1人あたり月○円で、支援をまとめて委託する
  • 項目別型:事前ガイダンス1回○円、送迎1回○円のように、支援ごとに料金を決める

料金に法令上の上限はありません。そのかわり、登録支援機関は委託契約を結ぶときに、支援業務にかかる費用の額とその内訳を示す必要があります。

内訳は「説明書」で確認できる

登録支援機関は、登録申請のときに「支援委託手数料に係る説明書(予定費用)」(参考様式第2-8号)で、1人あたりの月額の内訳を示します。項目は次の10個です。

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国する際の送迎
  3. 適切な住居の確保・生活に必要な契約
  4. 生活オリエンテーション
  5. 行政手続等への同行
  6. 日本語学習機会の提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援
  10. 定期的な面談・行政機関への通報

それぞれの項目に、金額と「随時」か「定期」かの徴収時期を書く形です。見積もりを受け取ったら、この10項目のうち、どれが月額に含まれ、どれが別料金なのかを確かめると、他社と比べやすくなります。

委託費とは別にかかるもの

月額の委託費とは別に、次の費用がかかる場合があります。

  • 初期費用:入国前の事前ガイダンスや生活オリエンテーションを、月額とは別に1回ごとに請求する場合
  • 実費:空港への送迎の交通費、通訳の手配費用など
  • 在留資格の申請書類の作成費用:認定・変更・更新の申請を行政書士などに依頼する場合の報酬

どこまでが委託費に含まれるかは登録支援機関によって違います。契約前に、別料金になる項目と金額を書面で確認してください。

一部だけ委託した場合の費用

支援は、全部ではなく一部だけを登録支援機関に委託することもできます。たとえば、生活オリエンテーションだけを委託し、それ以外は自社で行う形です。

一部委託では、委託した支援の分だけ費用を払うため、月額の委託費は下がることがあります。ただし、注意点が2つあります。

  • 一部委託の場合、受入れ企業は自社で支援体制の基準を満たす必要があります。全部を委託した場合にだけ、基準を満たしたものとみなされます。
  • 定期的な面談は、一部委託できません。自社で行う必要があります。

そのため、一部委託は「費用を少し下げる方法」というより、自社支援の体制がある企業が、手の回らない支援だけを外に出す方法と考えると判断しやすくなります。

自社支援にした場合にかかる費用

かかる費用の内訳

自社支援にすると、委託費はかかりません。そのかわり、次のような費用がかかります。

費用内容
担当者の人件費支援責任者・支援担当者が支援業務にかける時間の分の人件費
通訳・翻訳外国人が十分に理解できる言語での説明や相談対応、支援計画書の翻訳など
実費送迎の交通費、行政手続への同行の交通費など
書類作成の外部依頼届出書や申請書類の作成を行政書士などに依頼する場合の報酬

支援にかかる費用は、通訳の費用や送迎の交通費も含めて、受入れ企業が負担します。委託から自社支援に変えても、本人に負担させられる費用が増えるわけではありません。

なお、入管庁の意識調査(令和4年7月)では、回答企業の84.4%(221社)が登録支援機関を利用していました。自社支援をしている企業は少数です。

2027年4月から支援体制の要件が変わる

自社支援を考えるなら、令和9年(2027年)4月1日から支援体制の要件が変わる点も、費用に関わります。主な改正点は次のとおりです。

  • 支援責任者と支援担当者を、支援を行う事業所ごとに、常勤の役員または職員から1人以上選ぶ(支援責任者が支援担当者を兼ねることは可能)
  • 支援業務に従事できるのは、支援責任者と支援担当者に限られる
  • 支援責任者に養成講習の受講が義務付けられる(当分の間は、修了していなくても差し支えないとされている)
  • 支援責任者・支援担当者1人あたりが支援できる特定技能外国人は50人未満

事業所が複数ある企業は、事業所ごとに常勤の担当者を置く必要があります。今いる社員で担当できるか、新たに人を配置する必要があるかで、自社支援の費用は大きく変わります。

出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の主な改正点」「支援体制に係る要件の改正について」

委託と自社支援の費用を比べる

委託と自社支援の費用構造の比較図。委託は月額委託費に初期費用・実費・申請書類の作成費が加わり、自社支援は担当者の人件費・通訳翻訳・実費がかかる。どちらも本人に負担させることはできない

計算式

年間の費用は、次の式で比べられます。

  • 委託の場合:1人あたり月額 × 人数 × 12か月 + 初期費用・実費 + 申請書類の作成費(外部に依頼する場合)
  • 自社支援の場合:担当者の人件費(支援業務にかける時間の分)+ 通訳・翻訳 + 実費 + 書類作成の外部依頼費

委託の場合も、支援計画の変更の届出など、受入れ企業が自分で行う手続きは残ります。委託すれば社内の手間がゼロになるわけではない点も、あわせて考えてください。

5名の場合の試算例

特定技能外国人5名を受け入れている企業で試算すると、次のようになります。

項目委託の場合自社支援の場合
委託費1,703,160円(28,386円×5名×12か月)0円
担当者の人件費—600,000円(月20時間×人件費換算2,500円×12か月)
通訳・翻訳(委託費に含まれる想定)120,000円(月10,000円×12か月)
年間合計約170万円約72万円

(編集部作成の試算例です。委託費は入管庁の集計の平均額を使いました。担当者が支援業務にかける時間、人件費の換算単価、通訳費用は編集部の仮定で、実費・初期費用・書類作成の外部依頼費は含めていません。実際の費用は、受入れ人数、事業所の数、社内の体制によって大きく変わります。通訳・翻訳の年12万円は、相談対応などに短時間のオンライン通訳等を使う想定です。生活オリエンテーションなどを通訳会社に1日単位で依頼する場合は、1回あたり数万円かかります。料金の例は「【自社支援】特定技能の通訳はどうする?」を参照してください)

この例では自社支援のほうが安くなりますが、支援のために新たに人を雇う場合や、事業所が複数ある場合は、人件費が大きく増えます。自社の時給や想定時間を式に入れて計算してみてください。

費用で判断するときの注意点

支援費用を本人に負担させない

支援の実施にかかった費用は、特定技能外国人本人に負担させることは認められていません。委託費を給与から差し引くような形で負担させることも同様です。通訳の費用や、空港への送迎の交通費も受入れ企業の負担です。

出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」

安さだけで選ばない

月額が安くても、別料金の項目が多ければ、合計は高くなります。また、外国人が理解できる言語で相談に対応できるか、相談の窓口がいつ開いているかによって、支援の質は変わります。

見積もりを比べるときは、月額、別料金の項目、対応できる言語、相談の受付時間をそろえて比べてください。登録支援機関の選び方は「登録支援機関とは? 現場社員が役割・費用・選び方を解説」で詳しく説明しています。

よくある質問

委託費の相場は分野によって違いますか?

入管庁の集計は全分野をまとめた数字で、分野別の内訳は示されていません。分野によって必要な支援の内容が変わる場合もあるため、見積もりで内訳を確認してください。

一部委託と全部委託はどちらが安いですか?

委託する範囲が狭ければ、委託費は下がります。ただし一部委託では、自社で支援体制の基準を満たし、定期的な面談を自社で行う必要があります。自社の体制を整える費用も含めて比べてください。

自社支援に切り替えるにはどんな手続きが必要ですか?

登録支援機関との委託契約を終えたうえで、出入国在留管理局へ2つの届出を行います。届出の種類と書類、14日の期限は「【特定技能】自社支援への切り替え手順|必要な届出2つと書類・期限を解説」で解説しています。

まとめ

  • 登録支援機関への委託費は1人あたり月額で決まることが多く、入管庁の集計では平均28,386円、約9割が月3万円以下です(令和4年9月末時点の暫定値)。
  • 月額のほかに、初期費用や実費、申請書類の作成費用がかかる場合があります。内訳は「説明書」の10項目で確認しましょう。
  • 自社支援では委託費の代わりに、担当者の人件費や通訳の費用がかかります。2027年4月からは、事業所ごとに常勤の担当者を置く必要があります。
  • 支援にかかる費用は、委託でも自社支援でも本人に負担させられません。

自社の人数と体制で費用を計算し、委託と自社支援のどちらが合うかを検討してください。特定技能の受入れ体制や支援の方法に迷っている場合は、こちらからご相談ください。

執筆:Shienmee編集部(株式会社JJS)

本記事は、出入国在留管理庁の公表資料(運用要領・Q&Aなど)に基づいて作成し、制度改正にあわせて更新しています。掲載内容は公開・更新時点の情報です。最新の取扱いは本文中の一次資料リンクからご確認ください。