【自社支援】特定技能の通訳はどうする?義務の範囲・手配方法・費用と2027年改正
公開日: 2026/10/20
特定技能外国人を自社支援で受け入れる場合、通訳者を社員として雇う必要まではありません。必要なときに外部へ依頼するなどして、通訳を確保できれば足ります。
ただし、事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談・苦情への対応、定期的な面談の4つの支援は、本人が十分に理解できる言語で行う必要があります。そのための通訳費は、受入れ企業が負担します。
支援を登録支援機関に全部委託している場合は、通訳の手配も登録支援機関が行います。この記事は、自社支援(一部の支援だけを委託している場合を含む)の企業向けに、通訳の義務の範囲、手配の方法と費用、2027年4月の改正で変わる点を、出入国在留管理庁の資料をもとに説明します。
通訳はどこまで用意する義務がある?
求められるのは「十分に理解できる言語」での支援
自社支援をする企業には、特定技能外国人が十分に理解できる言語で、情報を伝え、相談を受けられる体制が求められます。
ここでいう「十分に理解することができる言語」は、母国語に限られません。本人が内容を余すことなく理解できる言語であれば足ります。日本語など母国語以外の言語でも、本人が内容を余すことなく理解できるなら、その言語で支援することも考えられます。ただし、日常会話ができることと、制度や契約の説明を余すことなく理解できることは別です。判断に迷う場合は、通訳を用意しておくのが安全です。
通訳者を社員として雇う必要はない
出入国在留管理庁の運用要領では、十分に理解できる言語による相談体制について、通訳人を職員(社員)として雇い入れることまでは必要なく、必要なときに委託するなどして通訳人を確保できれば足りるとしています。
つまり、社内に外国語を話せる人がいなくても、外部の通訳を手配できる体制があれば自社支援はできます。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年10月版)
翻訳アプリや同僚の通訳は使える?
翻訳機は、本人とのやりとりが円滑に進むことを前提に、場合によっては使えます。ただし、込み入った相談や苦情への対応では、通訳人の介在が欠かせないとされています。
同じ国の同僚に通訳してもらう方法は、通訳の確保が難しいときの応急的な対応としては認められています。ただし、プライバシーの保護と正確さの観点から、詳しい聞き取りが必要な場面では、通訳を確保して対応する必要があります。
出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」
通訳・翻訳が必要な場面
通訳が必要な4つの支援と時間の目安
本人が十分に理解できる言語で行う必要があるのは、次の4つの支援です。

| 支援 | いつ・どのくらい | 通訳の手配で考えること |
|---|---|---|
| 事前ガイダンス | 在留資格の申請前に、対面またはテレビ電話などで実施 | 雇用契約の内容や支援内容を説明するため、正確さが必要 |
| 生活オリエンテーション | 入国後(国内からの採用は在留資格の変更後)。少なくとも8時間以上 | 長時間になるため、1日単位の手配が必要になりやすい |
| 相談・苦情への対応 | 1週間あたり勤務日に3日以上、休日に1日以上対応 | いつ相談が来るか分からないため、すぐ頼める先が必要 |
| 定期的な面談 | 3か月に1回以上 | 支援責任者か支援担当者が行う。通訳人の同席は可能 |
出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」
翻訳が必要な書類
通訳だけでなく、書類の翻訳も必要です。たとえば、雇用条件書や支援計画書は、本人が十分に理解できる言語で作成し、本人が内容を理解したうえで署名することが求められています。
出入国在留管理庁は、こうした様式の外国語版をホームページで公開しています。翻訳を一から依頼する前に、公式の翻訳様式が使えるか確認すると、費用を抑えられます。
また、生活オリエンテーションについては、出入国在留管理庁が日本の生活ルールなどを19言語(2026年10月時点)で紹介する生活オリエンテーション動画を公開し、実施の際の活用を案内しています。動画で基本的な情報を伝え、質問への回答や会社独自の説明に通訳を使う、という組み合わせも考えられます。
通訳の手配方法4つ
| 方法 | 向いている場面 | 費用の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 社内の人材 | 相談対応など、すぐに対応したい場面 | 人件費(業務時間の分) | 担当者の負担が大きくなりやすい |
| 通訳会社・フリーランス | 生活オリエンテーションなど、日時が決まった長時間の場面 | 半日・1日単位の料金+交通費 | 急な相談には間に合わないことがある |
| オンライン通訳 | 短時間の相談、遠隔での面談 | 時間単位・月額など、サービスごとに異なる | 対応言語・対応時間を確認する |
| 一部の支援だけ外部に任せる | 社内で手が回らない支援がある場合 | 委託した支援の分の費用 | 定期的な面談は外部に任せられない |
社内の人材
外国語が話せる社員を支援担当者にしたり、通訳を兼ねてもらったりする方法です。相談にすぐ対応できる点が強みです。一方で、通常業務と支援が重なり、担当者の負担が大きくなりやすい点に注意してください。
通訳会社・フリーランス
生活オリエンテーションのように、日時が決まっていて時間が長い支援に向いています。必要なときだけ依頼できる一方で、相談のように急に必要になる場面では、すぐに手配できないことがあります。
オンライン通訳
電話やビデオ通話で通訳を受ける方法です。短時間の相談や、事業所が離れている場合に使いやすい方法です。対応言語、受付時間、料金体系はサービスによって異なるため、相談対応の時間帯(勤務日週3日以上・休日1日以上)に合うかを確認してください。
一部の支援だけ外部に任せる
生活オリエンテーションなど一部の支援だけを登録支援機関などに委託し、それ以外を自社で行う方法もあります。この場合、支援計画書に委託の範囲を明示します。
ただし、定期的な面談は支援責任者か支援担当者が行う必要があり、支援を全部委託する場合を除いて、外部に任せることはできません。その場合でも、通訳人に同席してもらうことはできます。
支援を全部委託する場合の費用は「登録支援機関の費用相場は月いくら?」で説明しています。
通訳・翻訳の費用
公開されている料金の例
通訳会社が公開している料金の例です(いずれもベトナム語。2026年10月20日に各社のホームページで確認)。
| 会社 | 内容 | 料金 |
|---|---|---|
| 株式会社アミット | 簡単な語学サポート(空港送迎・引率等)1日(8時間) | 35,000円〜 |
| 株式会社アミット | 一般ビジネス(商談・工場見学等)1日(8時間) | 40,000円〜55,000円 |
| 株式会社アーキ・ヴォイス | 簡易通訳 半日(4時間) | 31,500円〜 |
| 株式会社アーキ・ヴォイス | 簡易通訳 1日(8時間) | 45,000円〜 |
| 株式会社アーキ・ヴォイス | 翻訳(日本語→ベトナム語、一般文書) | 1文字11円 |
出典:株式会社アミット ベトナム語通訳、株式会社アーキ・ヴォイス ベトナム語翻訳・通訳の料金
どちらのページも、税込か税別かの表記はありません。アミットは半日料金を1日料金の70%としています。どちらも、交通費や時間を超えた場合の料金が別にかかると記載しています。料金は言語や内容によって変わるため、実際には見積もりを取って確認してください。
たとえば、8時間以上かかる生活オリエンテーションを通訳会社に1日で依頼すると、上の例では1回あたり数万円かかる計算になります。
費用は企業負担。本人に負担させない
事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談・苦情への対応、定期的な面談にかかる通訳費は、支援に要する費用です。受入れ企業が負担し、特定技能外国人本人に直接または間接に負担させることはできません。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」、「特定技能制度に関するQ&A」(Q81)
2027年4月の改正で変わること
主な改正点
令和9年(2027年)4月1日から、支援体制の要件が次のように変わります。
- 支援責任者と支援担当者を、支援を行う事業所ごとに、常勤の役員または職員から1人以上選ぶ(支援責任者が支援担当者を兼ねることは可能)
- 支援業務に従事できるのは、支援責任者と支援担当者に限られる
- 支援責任者に養成講習の受講が義務付けられる(当分の間は、修了していなくても差し支えないとされている)
- 支援責任者・支援担当者1人あたりが支援できる1号特定技能外国人は、50人未満とする
現行の運用要領では、支援責任者は常勤であることを問わず、支援担当者は常勤であることが望ましいとされています。改正後は、どちらも常勤者から選ぶ必要があります。
出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の主な改正点」、「支援体制に係る要件の改正について」
通訳の使い方への影響
現行の運用要領では、通訳人は支援の「履行補助者」として活用できるとされています。一方、改正後は支援業務に従事できる者が支援責任者等に限られます。
改正後も外部の通訳人を履行補助者として使えるかどうかについて、2026年10月20日時点で、出入国在留管理庁の改正の案内に個別の説明は見当たりません。通訳を外部に頼る体制をとっている企業は、施行までに出入国在留管理庁の最新の情報を確認してください。
いずれにしても、支援そのもの(説明や面談の実施)は支援責任者・支援担当者が行い、通訳人はその場で言葉を補う、という役割分担にしておくと、改正後の要件とも整理しやすくなります。
手配するときの注意点
通訳の確保方法と実施の記録を残す
自社支援の企業は、支援の状況に関する文書を作成し、特定技能雇用契約が終わった日から1年以上保管する必要があります。その文書には、対応できる言語と相談担当者に関する事項(委託契約書や通訳人の名簿)を含めます。また、事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談、定期的な面談などの記録には、実施担当者として通訳人の氏名と所属も残します。
外部の通訳会社やオンライン通訳を使う場合は、契約書と通訳人の名前が分かる記録を、支援の記録とあわせて保管しておきましょう。なお、一部の支援を外部に委託する場合は、支援計画書に委託の範囲を明示します。
出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」
詳しい聞き取りには通訳を確保する
翻訳アプリや同僚の通訳は応急的な手段です。労働条件の不満や、生活上のトラブルなど、詳しい聞き取りが必要な相談では、プライバシーと正確さのために通訳を確保してください。
外国人を通訳として雇う場合は在留資格を確認する
外国人を主に通訳として雇う場合は、その人の在留資格で通訳業務ができるかを確認します。在留資格「技術・人文知識・国際業務」で翻訳・通訳などの言語能力を用いる対人業務に就く場合は、CEFR・B2相当の言語能力が前提とされています。日本語の場合は、日本語能力試験(JLPT)N2以上などが例として挙げられています。
出典:出入国在留管理庁「翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務に従事する場合の在留資格の明確化について」
よくある質問
本人の日本語が上手なら、通訳はいりませんか?
本人が日本語で内容を余すことなく理解できるなら、日本語で支援することも考えられます。ただし、契約内容や制度の説明まで理解できるかは、日常会話の力だけでは判断できません。迷う場合は、少なくとも事前ガイダンスと生活オリエンテーションには通訳を用意すると安心です。
通訳費を給与から差し引いてもいいですか?
できません。4つの支援にかかる通訳費は受入れ企業が負担し、本人に直接または間接に負担させることはできません。
登録支援機関から自社支援に切り替えたら、通訳はどうなりますか?
全部委託をやめると、通訳の手配も自社で行うことになります。切り替える前に、対応言語と通訳の確保方法を決め、支援計画書に記載してください。切り替えの手続きは「【特定技能】自社支援への切り替え手順」で説明しています。
まとめ
- 自社支援でも、通訳者を社員として雇う必要まではありません。必要なときに外部へ依頼するなどして確保できれば足ります。
- 事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談・苦情への対応、定期的な面談は、本人が十分に理解できる言語で行います。
- 翻訳アプリや同僚の通訳は応急的な手段です。込み入った相談では通訳を確保します。
- 通訳費は受入れ企業が負担し、本人に負担させることはできません。
- 2027年4月からは、支援責任者・支援担当者を事業所ごとに常勤者から選ぶ必要があります。外部の通訳の扱いは、施行前に最新の情報を確認してください。
自社の対応言語と、4つの支援それぞれの通訳の確保方法を決めておきましょう。
通訳の手配まで、まるごと任せたい方へ
Shienmee(シエンミー)の基本プランには、支援記録・届出書類の管理ツールに加えて、定期面談や相談対応で使える7言語対応・月5時間までの通訳サポートが含まれています。8時間以上かかる生活オリエンテーションは、通訳サポートの時間枠とは別に、研修の代行として実施します。
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本記事は、出入国在留管理庁の公表資料(運用要領・Q&Aなど)に基づいて作成し、制度改正にあわせて更新しています。掲載内容は公開・更新時点の情報です。最新の取扱いは本文中の一次資料リンクからご確認ください。


